調剤薬局が知っておくべき「オンライン資格確認」
保険調剤薬局では、患者さんが来られたとき、その患者さんが加入している医療保険を確認しなければいけません。この作業を「資格確認」と呼びますが、これまでは患者さんが提出する保険証などを目視で確認して、レセコンに入力し保険の種類を特定して、自己負担額やその後の請求機関への請求額を決めていました。しかし、患者さんが提示した保険証が有効なのかどうかをその場で判断できないため、資格過誤によるレセプト返戻が発生していました。レセプトの返戻およびそれへの対応は薬局業務において大きな負担となります。
令和3年3月から始まる、オンライン資格確認は、マイナンバーカードまたは健康保険証の記号番号、処方箋の記号番号により、オンラインで資格確認ができるようになります。オンラインで直接支払基金のサーバーと照合して資格を確認するので、前日に資格を失っていた患者さんでも、資格が無いことを即座に示されます。
薬局にとってのオンライン資格確認のメリット
その時点で、最新の情報と照合しての資格確認がされるので、レセプトの返戻が減ります。また、照合された情報は対応したレセコンには自動的に取り込まれるため、レセコンに手入力する手間が減ります。
また、オンライン資格確認では、患者の特定健診等情報、薬剤情報を閲覧することができます。これにより患者の処方状況を把握することができ、重複投薬等の解消提案することで「服用薬事調整支援料2」を算定できます。
※特定健診情報は令和3年3月から、薬剤情報は令和3年10月から閲覧可能になります。
資格確認ができる対象
資格確認の対象となるのは健康保険被保険者証、国民健康保険被保険者証、後期高齢者医療被保険者証などのみです。自治体が管理している公費負担・地方単独事業については令和3年3月時点では対象になっていません。将来の利用に向けた検討は続けられていますが時期は決まっていません。これらの資格確認はこれまで通りの証明書による確認が必要です。
オンライン資格確認に必要なもの
オンライン資格確認を行う為には、以下のものが必要になりますが、後述するように全て無償で手に入れることが可能です。
・顔認証付きカードリーダー
・オンライン資格確認専用端末
・オンライン資格確認をするためのネットワーク設定(IPsec等)
薬局が受けられる財政補助
国はマイナンバーカードの保険証利用の普及を強く押し進めるための「加速化プラン」を実行しています。令和3年3月末までに医療機関・薬局の6割程度でオンライン資格確認システムが導入されていることを目指しています。
そのために、令和3年3月までに顔認証付きカードリーダーの申し込みを行った薬局に、費用について一定の補助上限まで定額補助が行われます。具体的には大型チェーン薬局以外の薬局では、
・顔認証機能付きカードリーダー1台を無償提供
・資格確認用専用端末購入、レセコン等の改修、ネットワークの設定費用などに上限42.9万円まで実費全額補助
が、受けられます。つまり、薬局では一切金銭的な負担をすること無くオンライン資格確認システムを導入することが可能です。条件は「令和3年3月末までに顔認証付きカードリーダーを申し込んだ薬局」です。
オンライン資格確認の利用に向けた手続き
最初に、オンライン資格確認の医療機関等向けポータルサイトへの登録をします。
そこから、以下のことができます。
・顔認証付きカードリーダー申込
・オンライン資格確認利用申請
・補助金申請
ポータルサイトのアドレスは
https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/
または、「オンライン資格確認」で検索するとアクセスできます。